2017年7月16日 (日)

歌舞伎「駄右衛門花御所異聞」

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「駄右衛門花御所異聞」(秋葉権現廻船語)
「白浪五人男」の日本駄右衛門が活躍する「秋葉権現廻船語」をアレンジした作品とのことです。日本駄右衛門、月本円(園)秋、花月、玉島幸兵衛、お才……小狐禮三を思い出しますが、ちょっと調べた感じでは関連はよく分かりませんでした。(ご存知のかたがいらしたら、ご教示ください)
お話は、詳しくは歌舞伎座のホームページを読んでいただくとして、簡単に申し上げ……られるかどうか不安ですが、申し上げてみますと。遠州月本家、領主・月本円秋(右團次さん)、弟・月本始之助(巳之助さん)、始之助側室・傾城花月(新悟さん)、奥家老・玉島逸当(中車さん)、逸当の妻・松ヶ枝(笑三郎さん)。そして、逸当の弟で廓遊びで御用金を使い込んで勘当中の玉島幸兵衛(海老蔵さん)。対するは、大盗賊・日本駄右衛門(海老蔵さん)、お家乗っ取りをたくらむ月本祐明(男女蔵さん)、祐明の側室であり駄右衛門の手下でもあるお才(児太郎さん)。祐明を手玉に取りつつ、実は天下を狙っている駄右衛門は、月本家の重宝・紀貫之直筆の古今集と、死者を操ることができる秋葉権現の三尺棒を盗む。いろいろあって、駄右衛門は将軍(齊入さん)の御所を襲撃するが、秋葉大権現(海老蔵さん)が顕現して助けたりして、何かめでたしめでたし……みたいな感じです。

スペクタクルでした。海老蔵さんの早替り。駄右衛門は常に追われる立場なので、派手な立廻り。それに、秋葉権現の社での幻想的な演出。そして、皆さまお待ちかねの白狐・勸玄くんとの宙乗り。可愛らしいのはもちろんですが、にこっとしたり、手を振ったりなど、余裕が見られました。何より、抱いている海老蔵さんのお顔のお優しいこと。あと、忠臣蔵とか勧進帳とかいろいろな作品のパロディになっているのもお楽しみのひとつです。
個人的には、児太郎さんのお才がよかったです。実はお才は幸兵衛の生き別れの女房。自分のせいで幸兵衛が使い込んだお金を返すために悪人の手下になったのが、結果的に幸兵衛の仕える月本家を断絶に追い込んでしまうという不幸。お金を稼ぐために茶屋を経営しているのですが、伝法でさばさばした感じがカッコイイです。しかし、裏切られたと思った幸兵衛に斬られてしまいます。海老蔵さんが「持つべきものは女房」「来世は一緒に」などと云うところは、やはり胸が痛いですね……。

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2017年7月11日 (火)

渚イダーくだサイダーって言いたかった

タワレコのスピッツカフェに行ってきました! 日曜に行ってみて、だいぶ行列だったので断念したのですが、平日の今日はそんなに待ちませんでした。


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まずは、新曲……違った、新メニュー。歌ウサギと1987→。どちらもお酒です。
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そして、二人で食べたいロビンソンパスタ……を一人で食べる。結構、ボリュームがあります。
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こちらは、君が思い出になる前にカレーwith若葉サラダ。
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もちろん、こちらも外せません。
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時間制限ありましたが、9時過ぎには空いてきたので、のんびりしてしまいました。
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お隣りカップルと一緒に口ずさんでみたり。楽しかったです。
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2017年7月 8日 (土)

社会人のための歌舞伎鑑賞教室「一條大蔵譚」

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解説・歌舞伎のみかた
19時開演だと会社帰りに行けます。って、先月もそんなことを書いたような……。思えば、文楽は夜遅くなることもありますが、大劇場の夜って初めてかも。とはいえ、「社会人のための」と銘打ってますが、開演が遅いだけで内容は同じだそうです。
歌舞伎のみかた、先月と同じ感じかしら……と思っていたら、違いました! 荘厳な音楽と背景のなか、せりと廻り舞台を駆使して坂東亀蔵さんが幻想的に登場です。素敵です。
今回の解説で面白かったのは、まず黒御簾の御簾が上がりました。思ってた以上にぎゅうぎゅうですね。三味線さんはさすがに坐っていらっしゃいますが、唄の方は立ってらっしゃるのですね。(でも速やかに退場されたので、動線は確保されているという…)鳴物もそんな隅っこで、みたいな感じでした。
もう一つは、竹本。この公演は、なんと文楽みたいな縦書きの字幕付きです。これは解説だけはなく、次の「一條大蔵譚」でも付いてました。竹本とツケ(渡辺さん)と鳴物を使っての立廻りの実演は、国性爺の千里ヶ竹です。(実は歌舞伎では観るの初めてです!)ちゃんと虎も登場して大迫力。よく考えたら衣装も化粧も小道具もない素踊りならぬ素演技。これはこれでなかなか貴重な体験です。

「一條大蔵譚」檜垣茶屋の場、大蔵館奥殿の場
一條大蔵卿:菊之助さん、常盤御前:梅枝さん、お京:尾上右近さん、吉岡鬼次郎:彦三郎さん、八剣勘解由:菊市郎さん、鳴瀬:菊三呂さん……あ、亀蔵さんは出ないのですね……。
大蔵卿、迫真の阿呆っぷり……。いやもうホント、ぱっと見、知らなかったら菊之助さんだとは思わないだろうってくらいです。以前に観た、仁左衛門丈はやはりどこか美しく、吉右衛門丈は目が怖いんですよ。(そうえいば、どちらの時も菊之助さんは鬼次郎でした)菊之助さんは無邪気で可愛らしい愛すべきバカ殿さまでした。ただ、作り阿呆でもうっかりすると(?)声の素敵さがにじみ出ちゃってました……。素敵な声と云えば彦三郎さん。相変わらずの声量です。が、鬼次郎は忍び込んでいるので、そんなよく通る声で話しちゃ……とちょっと心配してみたり? お京はしっとりと色っぽく、常盤御前はどちらかと云うと可愛らしい感じでした。勘解由の「死んでも金が欲しい」というのは、いっそあっぱれなワル魂。そして「なんで大蔵卿が友切丸持ってるのさ!?」といつも独りツッコむのでした……。

そういえば、半蔵門駅に素敵な6番出口ができました。工事中のあちら側があんなことになってたとは……。
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2017年6月25日 (日)

歌舞伎「鎌倉三代記」「曽我綉侠御所染」「一本刀土俵入」

Img_20170624_155433「鎌倉三代記」絹川村閑居の場
まずは重厚な時代物。佐々木高綱:幸四郎さん、時姫:雀右衛門さんという強力な布陣に、三浦之助:松也さんというのがいいですね。三浦之助のモデルである木村重成、イケメンです。いつ首をとられてもいいように(その覚悟で)兜に香を焚き染めたという。「縁の切れ目は蘭奢の薫り」……蘭奢待(らんじゃたい)って何じゃたい?とか云っていたのは昔の私。正倉院御物の名香木です。(調べました…)
済みません、イケメン語りすぎました……。重要なのは、時姫さまでした。北條時政の娘ながら、敵方の三浦之助への恋を貫く。かなり積極的に迫っていくわりに、義母・長門(秀太郎さん)の世話は嫁の仕事と、蝶よ花よのお姫さまが(おそらく)慣れない苦労をしているのも健気で可愛らしいです。健気と云えば、高綱に似ているばかりに身代わりになった藤三郎の女房・おくる(門之助さん)。これは「本朝廿四孝」の濡衣ですよね。でも、何も死ぬことはないのではないかと思うのですが。

「曽我綉侠御所染」御所五郎蔵
続きまして、世話物。御所五郎蔵:仁左衛門さん、星影土右衛門:左團次さん、皐月:雀右衛門さん、逢州:米吉さん……これもまた素晴らしいキャスティングでございます。五郎蔵と土右衛門を甲屋与五郎(歌六さん)が止める場面。見返りのニザさまの後ろ姿が本当にお美しい!舞台も桜が満開の廓で華やかですし、絵になります。盃の扇投げとか本当にカッコイイです。(語彙力が不憫で済みません……)
そして、やっぱり逢州が哀れです……。お預かりのお手紙も渡せてないし。

「一本刀土俵入」
これは面白かったです。いいお話ですね。やっぱり猿之助さんがお上手なんだなぁと思います。お蔦の、前半はすっぱだけど心根の優しいところがにじみ出ている感じとか、後半は「お君ちゃん」(市川右近さん、可愛い! お歌も上手!)と呼ぶ声がもう優しいですよね。そして、愛すべき駒形茂兵衛、幸四郎さん。前半のちょっととぼけたお相撲さんも何やら和みますし、後半の博徒はすっかり立派になっていて、間の10年の苦労が逆に察せられる気がします……。

Img_20170624_232241今年も水出しフレーバー麦茶の季節がやって来ました! 早速、座・のれん街で買ってきましたよ。また、豆菓子を試食(全種類いただきました……)させていただきながら、お店のかたとお話していたら、同じ県の出身だということが発覚しました。

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2017年6月23日 (金)

歌舞伎夜話-澤村宗之助さん 大谷廣太郎さん-

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19時開演だと会社帰りに行けます。定時が18時なので、18時半だと頑張ってギリギリ……いや、私の事情なんかどうでもいいのですが。

廣太郎さんは、この若さで落ち着きはらった泰然自若ぶり。そして、宗之助さんは小柄で華奢なかたでした。いつもと違ってスーツも素敵ですね。廣太郎さんのネクタイは卵とベーコンだそうですよ。そして、松竹の戸部さんも含めてとても仲の良い感じで、ボケとツッコミ(ノリツッコミ?)の息もぴったりでした。
宗之助さんが、正座と胡坐ができたので歌舞伎の子役のオーディションに受かって現在に至りますという流れから、ごく真面目に「では廣太郎さんはどういった経緯でこの世界に?」と訊くほうも訊くほうですが、「気づいたら」と真面目に答えるほうも答えるほう……みたいな見事なノリツッコミでした。お師匠の宗十郎さんが面白いかただったというお話や、廣太郎さんのお祖父さまも面白いかただったというお話や、染五郎さんが面白いかただというお話……。廣太郎さんにとって染五郎さんは、雲の上の人。というのは、飛行機みたいで、飛行機雲があるので追いかけてはいけるけれど、気づくともうそこにいない、のだそうです。仲良くお喋りしているように見えて、実はお互いに意志疎通していないらしいです……。宗之助さんと染五郎さんはお友達で、舞台の上で観客に気付かれないような悪戯などをしているそうですよ。
時期的に、シネマ歌舞伎のアテルイを会社は宣伝したい模様。テーブルにミニ熊子が!そこでアテルイの苦労話とか御霊御前ビームとか(?) 大変と云えばラスベガス公演は飛行機に乗り遅れたりしてラスベガスに着く前から大変だったと廣太郎さん。そして、やはり時期的に、お客さんの質問も氷艶に集中してました。アクション諸鍛冶さんの過激な指導ぶり。(でも、「弊社」以外のかたには優しいそうです……)氷をつかむ、エッジを効かす、と廣太郎さんが得意気に云うのを宗之助さんと戸部さんがからかったりしていました。宗之助さんは松竹アイスホッケー部を作る計画とか。笑也さんが乗り気(笑)
廣太郎さんが女方もやってみたいとのことで、目指すは三枚目の女方。あと弟さんと比べられるのは嫌だそうです。宗之助さんが目指すのは片岡亀蔵さん……(?)
おふたりともお話がお上手で、爆笑のうちに終わりました。でも、笑わせながらも真面目なことは真摯にお話されるところが印象的でした。

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2017年6月18日 (日)

歌舞伎鑑賞教室「毛抜」

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解説・歌舞伎のみかた
歌舞伎あるいは文楽鑑賞教室のいいところは、お値段が安いというところです……。まあ、一幕見よりはちょっとしますが、プログラムも無料でもらえますし、この解説もあります。もちろん、より多くの方のために開かれた門戸なのに一席奪ってしまって済みませんという気もしますが。
解説は女子高生にも人気の中村隼人さんです。「平日は高校生が多いんですよ~」……済みません。休日なので平常運転の客層でございます……。(私調べ)
花道から始まって定式幕や黒御簾など舞台の説明。国立劇場の廻り舞台、隼人さんがずずずっと奥まで歩いて行かれるのを見ると、ずいぶん奥行があるのですね。あと大道具のないセリも何だか凄い迫力です。
実演は隼人さんによる立廻りの他に毛振りまでありました。終わってすぐに喋らなければならないのは、確かに大変です……。お水と書かれたポカリを飲まれてました。(何情報?)
平日は学生さんが多いとのことで、歌舞伎の普及のためにSNSで拡散してくださいね、という撮影コーナーもありました。たぶん、平日だったら「スマホを準備してください」と云うところを、本日は「携帯を準備してください」ってなってました……。それでは、こちらがイケメンでございます。 
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歌舞伎十八番の内「毛抜」小野春道館の段
毛抜、キター! 部長は行方不明ですが。(あ、ネタバレ?)
お話は「そんなバカな!」とツッコミどころ満載(済みません)の面白さですが、これが江戸時代の初演というのが凄いです。ミステリー仕立てといい、磁石といい斬新ですよね。
粂寺弾正:錦之助さん、絹巻:片岡孝太郎さんです。そういえば、どなたか隼人さんの解説の時に、イケメンは声もイケボと云われてましたが、確かに素敵な声なのですけれど、私はやっぱり彦三郎さんがよいお声だなぁと思います。(普通にお話するのと歌舞伎の時ではもちろん違うと思いますが)今回は悪者の八剣玄蕃でしたが。八剣数馬:大谷廣太郎さんは今週もお会いします。楽しみだな~。小野春風:尾上右近さんのぽやぽや加減(お坊ちゃまなのです)もいい感じで。お姫様・錦の前は今人気急上昇中の中村梅丸さん。可愛らしいです。
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2017年6月11日 (日)

馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月

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太田記念美術館、ラフォーレ原宿の裏にひっそりとあります。浮世絵専門の美術館で、こぢんまりとしていますが、座敷があったり吹き抜けの真ん中に小さな庭園があったりして素敵です。そして、館内規模のわりに作品点数が多いので見ごたえがあります。
さて、「馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月」展。(詳しくはこちら )4月頃から見に行こうと心に決めていましたが、よく考えたら去年の「俺たちの国芳わたしの国貞」展で対決してました。しかし、馬琴と銘打つくらいですので、今回はなかなか対決しております(?)例えば、同じ芝居の芳流閣の場面とか円塚山の場面とかを比較しています。国貞は役者絵ですが、国芳が芝居絵を描いたこともあって、同じ役者を二人が描いた違いなども面白いです。あと、円塚山で左母次郎と荘介は同時に登場することはないのですが、国芳は道節と「はまぢ」と一緒にまとめて描いていたりします。
そんな感じで国貞はもとになる歌舞伎があるわけですが、後になって別の役者さんがやったりする場合は顔だけを彫り直すのですね。国芳は本朝水滸伝、義勇八犬伝など。その他、弟子の作品はあまり見る機会が少ないのではないでしょうか。おもちゃ絵の芳虎はかるたとか、イケメンの芳雪とか。月岡芳年はさすがに繊細です。
「椿説弓張月」は、八犬伝よりももっと奇想天外なお話だと思いますが。有名な国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」は、その20年くらい前に同じような場面を描いたものがあって、それと比べるのも面白いです。明らかに傑作が描けました的な……。
弓張月の比較は、皆どうしても挿絵の葛飾北斎に対抗する感じですね。

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2017年6月10日 (土)

刺身戦さ?

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このフォトジェニックな(って使ってみたかったんですけど、合ってます?)お刺身。憧れのなだ万様のコースですよ。お誕生日に美味しいものを食べる会、かれこれ●●年くらいやってますが、もうガッツリお肉を食べられるような年齢でもないので(衰え……)今年は和食にしてみました。素敵な夜景と共に。
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とは云え、かっちり和食というわけでもなく、左の一品はココナッツ豆腐(キャビア載せ!)。あるいは、スープ蒸し玉蜀黍餡……茶碗蒸の上に、市販のコーンスープにひと手間加えてコンソメゼリーを入れたものをかけると料亭の味になります。(いえ、なりません……)お肉は、牛カルビやわらか煮、ホントやわらかです。ビーフシチュー風味。
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そして、ワインもいいですがやっぱり日本酒。なだ万様オリジナルの日本酒です。この焼物も面白くて、トマト麩田楽はモチモチの不思議食感、無花果のワイン煮も美味しかった~。食事は帆立御飯で、余った分はおにぎりにしてお土産にしてくれます!
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最後はサプライズのデザート。オルゴールの奏でる「ハッピーバースデー」と共に登場した時は、ちょっと笑い……もとい、驚きました。
そんな、日常から少し離れた贅沢空間でも、毎年のもこさんのお誕生日がこの時季なので仕方ないことですが、コミケ当落の情報交換で慌ただしいことになっているのでした……。今年の前泊は凄いとこ取れたので楽しみだな~(って、結局そっちか!)

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2017年6月 4日 (日)

エガミの国のアリス

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その昔(って、また昔話して済みません)「幽霊刑事」にサインいただいた時の日付が2000.6.9になっておりました。あの頃はこんな時代が来るなんて思っていませんでした―――「有栖川有栖」を検索すると窪田正孝さんが返って来る時代が来るとは……。っていうか、いくら斎藤工さんでも火村センセはヨレヨレすぎだと思いますが。いや、でも、続編ないかな~……は置いといて。ええと、今回は江神先輩でした。
「江神二郎の洞察」、2012年に単行本で発行されたものの文庫版です。アリスが大学に入学したところから約一年間の短編集です。本物の(?)有栖川先生のデビュー短編もあったりして、いろんな意味で初々しいアリスです。そして、妙に老成していると思っていた江神先輩は26、7歳……若者じゃないか。微妙にリアルタイムで年齢を追いこしてきている我々の世代は、「鍵の掛かった男」で13年ぶりの火村が34歳にショックを受けたのでした……。(学生と作家アリスとは時系列は別なのでしたっけ?)
お話は、大学生って暇だよね~という馬鹿ばかしい……もとい、稚気あふれるものから、本格的な謎解きまでバラエティー豊か。間に「月光ゲーム」の悲劇があったことが内包されているので、夏休み後のアリスが傷ついていたりする。こういうアリスのナイーブなところがこのシリーズでは好きです。
有栖川先生はあまりお変わりないようで。あ、ネコの絵は17年前にはありませんでした。やった~! 今回、えらい狭いところでのサイン会だったのですが、あれは何だったのだろう……。素敵なガラス張りの会議室があるじゃないか、三○堂池袋本店……。

私はミステリ読みではないので、あくまで印象ですが(しかもオタク寄りの……)新本格派が一世を風靡したのがやはり2000年頃ではないでしょうか。今回は創元推理さんなので大きな声では云えませんが、メフィスト世代なので、最近はどうもタイガのラインナップに心惹かれるようです。特に面白かったのが(でも、まだ最後まで読んでないので、ネタバレを話しかけないでくださいね!)周木律さんの「LOST 失覚探偵」です。こういうのを待ってたんだよ、関口くん!(?)と思います。

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2017年5月28日 (日)

文楽「加賀見山旧錦絵」

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「加賀見山旧錦絵」
……重い。加賀騒動を元にしたお話で、前半の鳥井又助一家の悲劇と後半の女忠臣蔵、どちらも緊迫した力の入る展開で、おそらく気力・体力のない時では観ることができないのではないか……というくらい、終演後は力尽きました……。けれどもその分、義太夫も素晴らしかったし、人形も迫力がありました。

筑摩川の段
増水した川中で、鳥井又助が奸臣を討ち取り会心の高笑いで、幕。なのですが、実際は騙されて多賀家の大殿様を殺してしまっていたのでした。
裸の人形が泳いで行ったり、馬が川に乗り入れたりするのが面白いです。義太夫は御簾内で、亘太夫さんは高音がちょっと掠れますね。

又助住家の段
又助は主人・谷沢求馬が紛失した「菅家の一軸」を質請けするために村のお金を使ってしまい、又助の女房・お大が内緒で廓に身を売って補填のお金を作る。更に、多賀家の家老・安田庄司によって、実は又助が大殿を殺してしまっていたことが発覚。それまで、そんなこととはつゆとも知らない又助が、自分は求馬のために大功を立てたと信じてウキウキしている様子が本当に哀れです。そして、真実を知って、いきなり幼い倅・又吉を殺し、驚いた求馬に討たれます。これで求馬は殿様の暗殺犯を討った手柄ができ、多賀家に帰参できたのでした。その様子を、廓に連れて行かれたはずのお大が門口で見ていて、夫と時を同じく自害します。忠義のために息子の首をスパッと斬った又助ですが、お大と共に子どもを悼む場面は胸に迫ります。
まず、舞台は上手と下手が逆でした。向かって右に門口があって、みんな右から出てきます。咲甫太夫さん、呂勢太夫さん、熱演でした。(というか、この演目はたぶんすべて熱演にならざるを得ないと思いますが……)

草履打の段
場所が変わりまして、春爛漫の鎌倉・鶴岡八幡宮。この美しい舞台で、局岩藤が中老尾上を苛めます……。尾上が町人出身なのに高い役職にいるのと、御家乗っ取りの陰謀の密書を尾上に拾われてしまったのが原因ですが、ホントにこの岩藤が嫌味だし陰険で嫌な奴なのです。でも、草履で打たれるという屈辱にも賢い尾上は耐えるのでした。
ここは掛合です。この前に30分休憩があるのですが、見台がずらりと準備してあったので見物しに行ってしまいました。津駒太夫さんがホントに嫌味な感じで……あ、ええと、岩藤が。三味線は寛治師匠です。今回は上手寄りで近くでしたので、じっくり拝見しておりました。(……いや、聞こうよ)
尾上に草履を拭かせるため、岩藤には足が付いてました。人形遣いは尾上:和生さんで、岩藤:玉男さん……女役なんて珍しいわね、と隣の奥様が云ってましたが、岩藤、もう女性というか何というか……。

廊下の段
お館ではその鶴岡八幡宮の事件の話題で持ち切り。尾上の召使お初も腰元たちに捕まって噂話を聞かされます。噂をすれば影で、岩藤様のご登場。お初が呼び止められて、またしても苛められます。殴る蹴るの暴行です。酷いです。その後、これまた悪の弾正と岩藤の陰謀を盗み聞きするお初。
咲甫太夫さん、軽妙です。岩藤、悪いだけではなくて自分で自分を「仏性」とか云っちゃう傲岸不遜ぶりが逆にちょっと笑えたりするところとか、お福ちゃんの腰元お冬の滑稽なところとかお上手です。お初は勘十郎さん。

長局の段
ご主人のことを心から心配するお初と、それを分かっていながら、それでも屈辱に耐えかねて自ら命を絶ってしまう尾上。最初、お初はとても可愛いのです。上のポスターはお初が尾上にマッサージしてあげているところです。二人は歌舞伎より人形浄瑠璃の方が好き……というのがちょっと微笑ましい。その忠臣蔵の話になぞらえて、お初はそれとなくご主人の短慮を諌めようとしたりします。そんな賢くも可愛らしいお初が、尾上の亡骸を見て一転。岩藤への仇討を決心するところは鬼気迫るものがあります。凄いです。
難曲と云われるこの段を語るのは、待ってました、千歳太夫さんです!近くでしたので、じっくり拝見しておりました。(……いや、聞こうよ……)

奥庭の段
ついに、お初VS岩藤。岩藤も忍びの当馬を抜く手も見せずに一討ち(自分の手駒なのですが、証拠隠滅のため)って結構な使い手。しかし、大立ち廻りの末、見事お初が打ち果たします。
長局の段の後半から、背景が居所変わりで転換していってスピード感があります。雨音とか蛙の声とかも面白いです。

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